家賃滞納者への差し押さえ|具体的な手順や注意点など
借主が家賃を滞納しているため、家賃を差し押さえたいというご相談を受けることがあります。
家賃の差押えのためには、しっかりと手続きを踏む必要があります。本ページでは、家賃滞納者への差し押さえの方法や手順、注意点について解説をしていきます。
◆家賃滞納者の取り立ての方法
賃借人が家賃を滞納しているからといって、すぐに差押えができるわけではありません。
まずは差押えの前に、家賃の取り立てを行う必要があります。
もし管理会社や家賃保証会社と契約をしているような場合には、家賃滞納の事実を管理会社に連絡して、督促を依頼します。
督促をしても一定期間滞納した家賃が支払われない場合には、管理会社から入居者の連帯保証人もしくは家賃保証会社に連絡が行くことになります。
そこで連帯保証人や家賃保証会社が家賃を支払ってくれた場合には、ひとまず滞納の問題については解決します。
しかしながら、家賃滞納者が退去するわけではないので、今後家賃を支払わなかった場合の対処について、一度検討をする必要があります。
また、大家さん自身の口座等に家賃を直接振り込むような形式になっている場合には、次の方法で取り立てを行うこととなります。
まずは電話やメール、直接訪問などによって、相手の状況を確認します。
うっかり払い忘れただけであれば、その場もしくは、後日に支払いをしてもらうことによって解決することができます。
電話やメールに対して何の反応もない場合には、無視をされている可能性もあります。
また、直接訪問した際には、郵便物が溜まっていないかなども確認するようにしましょう。
郵便物が溜まっていない場合には、普通に生活をしている可能性が非常に高いので、直接交渉をした方が良いと考えられます。
居留守を使われているような場合には、再度出直すか、また電話やメールなどで督促を継続する必要があります。
ここで差押えを見据えている場合には、内容証明郵便を利用して、督促をすることになります。内容証明郵便を利用することで、後に裁判で争うことになった場合に重要な証拠となりえます。内容証明郵便の作成は弁護士に依頼することをおすすめいたします。
◆督促をする際の注意点
督促をする時には、過度な方法を用いてはいけません。
具体的には以下のようなものがあげられます。
・早朝や深夜に訪問したり電話などをする(20時から翌朝7時の間)
・同じ日に何度も訪問や電話をする
・張り紙や立て看板などを利用して督促する
・相手の職場など、住居以外の場所に連絡をする
・連帯保証人以外に督促をする
・無断で入室をしたり、室内のものを撤去、没収、鍵の交換などを行う
このような相手方の権利を侵害するような方法を用いて督促をした場合には、逆に相手から損害賠償請求をされてしまう可能性があります。
◆差押えの実行
督促をしても相手からの支払ってもらえない場合には、強制執行をすることによって、相手の財産を差押え、家賃を回収することとなります。
差押えには、債務名義、相手の財産の情報、費用の3つが最低でも必要となります。
債務名義とは、裁判所に強制執行を申し立てるために必要な文書であり、また、裁判所が強制執行を許可する文書のことを指します。
債務名義には、強制執行をするための請求権が存在すること、請求権の範囲、債務者、債務者を証明することが記載されます。
相手の財産の情報は、通常他人が知り得ない情報ではありますが、財産開示手続きを利用することで、相手の財産の情報を収集することができます。
また費用については、裁判所に納める費用と弁護士報酬が具体的な内訳となります。
差し押さえる財産の内容によって金額が変わるため、あらかじめ入念な準備が必要です。
◆差押えの方法
差押えには、動産執行、不動産執行、債権執行の3種類があります。
動産執行と不動産執行は、債務者の所有している動産または不動産を競売にかけ、その落札価格から家賃を回収する方法となります。
債権執行は、債務者が持っている債権を差し押さえる方法です。給与債権や銀行への預金債権が代表的な例となっています。
債権執行であれば、動産執行や不動産執行のように、競売から落札までの期間がなく、直接現金を回収することができるというメリットがあります。
◆家賃滞納を理由に賃貸借契約の解除はできるか
上述の通り、滞納した家賃を回収できたとしても、裁判によって差押えをした賃借人が今後も家賃をしっかりと支払うかどうかが不安要素となります。
そこで家賃滞納を理由に賃貸借契約が可能かについても解説をいたします。
基本的に、賃貸人側から賃貸借契約を解除するには、信頼関係破壊の法理というものが適用されます。信頼関係破壊の法理とは、「お互いの信頼関係が破壊されていると評価できるほどの信義則に反する債務不履行」のことを指します。
基本的には、3ヶ月ほど家賃が滞納されていれば、信頼関係が破壊されていると評価されることが多くなっています。
米重法律事務所は、新宿区を中心に東京都の案件を積極的に受任しております。取扱分野も労働問題、債権回収、不動産関係、IT関連の法務、契約書チェック、知的財産に関する問題など多岐にわたっております。
また、弁理士、社労士、税理士といった専門家とも提携をしているため、より抜本的な解決を見込むことができます。お困りの方は一度ご相談ください。
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米重 浩史Hiroshi Yoneshige
私は16年間、上場企業の法務部・経営管理部に勤務しており、様々な法律問題と契約業務に携わっていました。
会社員時代の企業側の視点・感覚なども活かしながら、ご相談者様の立場に立ち、早期解決を目指してアドバイスいたします。
少しでも不安なことがありましたら、遠慮なくご相談ください。
所属団体
- 東京弁護士会
経歴
- 2001年 東京大学法学部卒業
- 2001年 上場会社勤務(2017年まで)
- 2017年 司法試験合格(司法試験予備試験経由)
- 2018年 弁護士登録
- 同年 「米重法律事務所」開所
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