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建物明け渡し・立ち退き

不動産の賃貸営業をしている方(大家さん)にとって、借主の家賃の滞納は大きな悩みの種の1つです。家賃が毎回遅れる、家賃滞納の連絡がこないことに悩まされることは日常茶飯事になっていることもあるかもしれません。

家賃滞納に対して取りうる手段として、①交渉、②内容証明郵便による督促、③賃料(家賃)支払請求訴訟、④明渡訴訟による強制退去が考えられます。

 

借地借家法により賃貸人に厚い保護がなされているため、家賃滞納が1ヶ月だけでは家賃を回収したり契約解除や強制退去をさせることはできません。

しかし半年以上家賃滞納が続くと事情は変わります。

 

①交渉
立ち退きを迫るよう借主に対して交渉するのは常套手段でしょう。しかし何かと理由をつけてなかなか退いてくれない場合も多いのが現実です。

さらに現行の借地借家法は借主に大きな保護を与えており、賃貸借契約の契約解除をするために貸主(大家さん)は正当事由がなければならないとされています(借地借家法28条)。正当事由としては賃借人が迷惑行為をすることなども挙げられますが、このような事情のため、対面での交渉はそもそも借主が話を聞かないような状況になりがちです。

 

②内容証明郵便による支払督促
次の手段として内容証明郵便による家賃・管理費の支払督促(催告)をすることが考えられます。まず、家賃を支払ってほしいという内容の内容証明郵便を借主に通知しましょう。交渉と比べた内容証明郵便の特徴は、差出人が顔見知りの貸主であるにもかかわらずわざわざ文書で送られてくることです。

このような催告により、ことの重大さを借主が認識できると考えられます。

 

③家賃・管理費支払請求訴訟
内容証明郵便の通知をしてもなお貸主が家賃を支払わなかった場合は、賃貸借契約に基づく家賃の支払いを請求する調停または訴訟並びに和解になると考えられます。また、このまま家賃を支払わないまま居座られても困るというのであれば、債務不履行による契約解除を理由として借主に対し明け渡し請求訴訟をすることになります。ここで貸主・借主がそれぞれ原告・被告となり双方が証拠・主張を出し合いながら審理が行われていきます。

 

④明け渡し訴訟を提起する
大家さん(貸主)が家賃滞納の入居者に対して賃貸契約の解除及び滞納家賃の支払いを請求する旨の訴訟を提起することも大いに考えられます。裁判所の紛争解決制度には訴訟のほかに調停や仲裁などの制度がありますが、債務者を呼び出し、裁判の判断に服せしめることができるのは訴訟のみです。

訴訟で大家さんの請求が認容されると、建物明渡の強制執行を経て,当該賃貸物件の強制退去がなされることになります。

 

以上のプロセスにより立ち退き問題が解決することになります。もっとも、③④訴訟の場合には経済的・時間的コストがかかるため、「最後の手段」という認識が一般的でしょう。②督促(催告)の段階で「威嚇」として法的手段に則る旨を記していれば、大半の場合は家賃の支払いに応じてくれます。

もっとも訴訟の前に弁護士を介した立ち退き交渉などで対応していくのがベストです。

 

訴訟を行っていくうちに和解の方向に向かっていくことがあります。

そして和解により紛争が解決すれば良いのですが、そうでない場合は裁判所の判決により請求の当否が決定します。

 

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米重 浩史弁護士

米重 浩史Hiroshi Yoneshige

私は16年間、上場企業の法務部・経営管理部に勤務しており、様々な法律問題と契約業務に携わっていました。

会社員時代の企業側の視点・感覚なども活かしながら、ご相談者様の立場に立ち、早期解決を目指してアドバイスいたします。

少しでも不安なことがありましたら、遠慮なくご相談ください。

所属団体

  • 東京弁護士会

経歴

  • 2001年 東京大学法学部卒業
  • 2001年 上場会社勤務(2017年まで)
  • 2017年 司法試験合格(司法試験予備試験経由)
  • 2018年 弁護士登録
  • 同年   「米重法律事務所」開所

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