借地権

建物の所有を目的とする地上権が設定されたり、賃貸借契約に基づき土地を借りたりすることで、地上権者や賃借人は借地権を有することになります(借地借家法2条1号参照)。借地権はいわば、特に賃借契約における賃借人の立場に厚い保護を与える権利であるといえます。

 

借地借家法により、土地の賃借契約は借地契約として、借地権者に厚い保護が与えられます。まず借地権は30年と長い存続期間を有します(借地借家法3条本文)。ただし契約で30年より長い期間で定めた場合は、その期間借地権が存続します(同条但し書)。また、借地権設定者(賃貸人)は、借地権者に対して財産上の給付をする旨の申し出を行うなどして正当な事由があると認められるべき場合でない限り、借地権者の借地契約の更新を拒絶することができません(同法6条)。

借地権者と借地権設定者の間に借地権者にとって借地借家法に反し、不利になるような特約をした場合も、無効になります(同法9条)。

 

借地権が登記されていない場合には、借地権者が借地の上に建物を所有しているならば、登記なくして第三者にその借地権を主張することができます(借地借家法10条1項)。また、土地の賃貸料(地代)が①土地に対する租税その他の負担の増減、②土地の価格の上昇(低下)その他の経済事情の変動、③近隣の同種の土地の地代に比べて不相当となったとき、のいずれかの場合に地代の増減を当事者は請求することができます(同法11条1項)。

 

借地借家法上は、上述した普通借地権の他に、契約更新をしない、再築をしない、建物買取請求をしない特約を定めた一般定期借地権(借地借家法22条)、事業用建物所有者に限って設定できる事業用定期借地権(同法23条1項)、建物譲渡特約を付した借地権(同法24条1項)、そして一時使用目的の借地権(同法25条)があります。これらはその目的に応じて設定することができ、借地権の存続期間も異なります。一般定期借地権は50年以上、事業用定期借地権は10年以上50年未満、建物譲渡特約を付した借地権は30年以上、一時使用目的の借地権は必要最低限の期間借地権が存続することになります。

 

いずれにしても、賃貸借契約よりも厚い保護を借地権が与えています。

 

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米重 浩史弁護士

米重 浩史Hiroshi Yoneshige

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  • 東京弁護士会

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  • 2001年 東京大学法学部卒業
  • 2001年 上場会社勤務(2017年まで)
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  • 2018年 弁護士登録
  • 同年   「米重法律事務所」開所

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