遺留分侵害額請求の時効はいつ?手続きの流れも併せて解説
遺留分とは、民法で定められた法定相続人(配偶者・子・直系尊属)が最低限確保できる遺産の割合のことをいいます(民法1042条)。
遺留分侵害額請求では、遺留分権利者(相続人)が、受遺者(遺言で財産を受け取ったひと)や受贈者(生前贈与を受けたひと)に対して、侵害された遺留分に相当する金銭を請求できます。
遺留分侵害額請求の時効
遺留分侵害額請求権には1年の消滅時効と10年の除斥期間があります。
消滅時効
「相続開始」と「遺留分侵害を知った日」の両方を認識した時から1年以内に請求しないと、遺留分侵害額請求ができる権利は消滅してしまいます(民法1048条)。
除斥期間
相続開始(被相続人の死亡日)から10年が経過すると、遺留分侵害額請求権は完全に消滅します(民法1048条)。
この10年の期間は除斥期間であり、除斥期間とは特定の法律行為や権利に対して、一定の期間内に行使されないとその権利を失うことが定められた期間をいいます。
たとえば、2025年1月1日に被相続人が死亡した場合、2035年1月1日を超えると権利が消滅します。
除斥期間は時効と異なり、なにかアクションを起こしても、その期間の進行に影響を与えることはできません。
遺留分侵害額請求後の5年の時効
遺留分侵害額請求をしたにもかかわらず、具体的な金銭の請求をしないでいると、その金銭債権が時効により消滅してしまい、結局遺留分に相当する金銭を取り戻すことが難しくなります。
遺留分侵害額請求の時効を止める手続き
遺留分減殺請求権そのものの消滅時効と遺留分侵害額請求後の5年の時効の完成を阻止するためには、以下の手続きを取る必要があります。
内容証明郵便で意思表示をする
遺留分侵害額請求権の行使は、口頭で行使の意思表示をしても有効ですが、時効との関係で、起算点から1年以内に行使したかが重要となる遺留分侵害額請求では、内容証明郵便を利用して、文書の内容や配達した日時が証明することが重要です。
この意思表示をもって、遺留分侵害額請求権が時効にかかることはなくなります。
裁判を起こす
遺留分侵害額求権が行使され、遺留分権利者は、具体的な金銭債権を遺留分侵害者に対して請求できるようになります。
この債権の消滅時効は上で見たとおり5年です。
家庭裁判所での調停申立てや地方裁判所での訴訟提起などで、5年の時効を一時的に止めることができます。
このような裁判上の請求によって権利が確定しないまま終了した場合にはその終了時から6か月経過した後は、再度時効が進行することには注意が必要です。
まとめ
遺留分侵害額を支払ってもらうためには、時効との関係で迅速かつ適切に行動する必要があります。
弁護士に依頼することでスピード感のある対応が可能になります。
遺留分侵害額請求についてお困りの方は、お気軽に米重法律事務所までご相談ください。
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米重 浩史Hiroshi Yoneshige
私は16年間、上場企業の法務部・経営管理部に勤務しており、様々な法律問題と契約業務に携わっていました。
会社員時代の企業側の視点・感覚なども活かしながら、ご相談者様の立場に立ち、早期解決を目指してアドバイスいたします。
少しでも不安なことがありましたら、遠慮なくご相談ください。
所属団体
- 東京弁護士会
経歴
- 2001年 東京大学法学部卒業
- 2001年 上場会社勤務(2017年まで)
- 2017年 司法試験合格(司法試験予備試験経由)
- 2018年 弁護士登録
- 同年 「米重法律事務所」開所
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